冬に増える「隠れ脱水」とは― 職場でできる健康経営の新しい視点 ―

脱水症状というと、夏の暑い時期をイメージする方が多いかもしれません。しかし実際には、冬にも気づかないうちに水分不足に陥る「隠れ脱水」が増えています。
この隠れ脱水は、社員の体調不良や集中力低下につながり、企業活動にも影響を与える見過ごせない問題です。
健康経営の観点から、冬の水分管理について考えてみましょう。
隠れ脱水とは何か
隠れ脱水とは、自覚症状がほとんどないまま、体内の水分が不足している状態を指します。
喉の渇きを感じにくいため、「水分は足りている」と思い込みやすいのが特徴です。
人の体の約60%は水分でできており、水分は体温調節、血液循環、栄養や酸素の運搬、老廃物の排出など、生命活動に欠かせない役割を担っています。この水分が不足すると、体のさまざまな機能に影響が出ます。
なぜ冬に隠れ脱水が起こりやすいのか
冬に隠れ脱水が増える理由は、いくつかあります。
1. 喉の渇きを感じにくい
気温が低い冬は汗をかきにくく、喉の渇きを自覚しにくくなります。その結果、水分補給の回数が自然と減ってしまいます。
2. 暖房による空気の乾燥
オフィスや工場、店舗では暖房が欠かせません。しかし暖房によって空気が乾燥すると、呼吸や皮膚から水分が奪われやすくなります。自覚がないまま、体内の水分は失われていきます。
3. トイレを我慢しがちになる
寒い時期は、トイレに立つ回数を減らすために、無意識に水分摂取を控える人も少なくありません。これも隠れ脱水の一因です。
隠れ脱水が引き起こす職場での影響
隠れ脱水は、軽度であっても仕事にさまざまな影響を与えます。
- 集中力の低下
- 頭痛やめまい
- 疲労感や倦怠感
- 判断力の低下
これらは一見すると「体調不良」として片付けられがちですが、背景に水分不足が隠れていることもあります。
また、血液がドロドロになりやすくなることで、冷えや肩こりの悪化、生活習慣病リスクの増加にもつながるとされています。
健康経営では、こうした小さな体調変化を軽視しない姿勢が重要です。
企業としてできる隠れ脱水対策
隠れ脱水は、企業のちょっとした工夫で防ぐことができます。
1. 水分補給を促す環境づくり
ウォーターサーバーや給水機の設置、給湯室の使いやすさを見直すことで、社員が気軽に水分補給できる環境を整えましょう。
2. 「こまめな水分補給」の啓発
社内掲示やメールで、「喉が渇く前に水分をとる」「1日を通して少量ずつ飲む」といったポイントを伝えることが効果的です。
3. 温かい飲み物の活用
冬は冷たい水を避けがちですが、白湯やお茶など温かい飲み物でも水分補給は可能です。社員の好みに合わせた選択肢を用意することも大切です。
管理職・人事が意識したいポイント
健康経営を推進する立場として、管理職や人事担当者が意識したい点もあります。
- 長時間会議の合間に休憩を入れる
- 水分補給をしやすい雰囲気づくり
- 体調不良を訴えやすい職場環境
「水分をとること=仕事を中断すること」とならない文化づくりが、結果的に生産性向上につながります。
社員自身ができるセルフケア
社員一人ひとりができる対策としては、
- 起床後にコップ一杯の水を飲む
- デスクに飲み物を常備する
- カフェイン飲料だけに頼らない
といった習慣が有効です。企業として、こうしたセルフケアを後押しする情報発信も大切です。
冬の水分管理は健康経営の重要テーマ
冬の隠れ脱水は目に見えにくく、後回しにされがちですが、社員の健康とパフォーマンスに確実に影響を与えます。
健康経営とは、重大な病気を防ぐだけでなく、日々の不調を未然に防ぐ取り組みです。
冬の水分補給という身近なテーマを通じて、社員の健康意識を高め、働きやすい職場環境づくりにつなげていきましょう。